「がん」可能性、原爆と比較

 

 放射線をたくさん浴びるとその量によって「がん」になる可能性が増えると考えるというのは、放射線によって細胞の遺伝子に傷が付き(突然変異が起き)、それをきっかけとして「がん」が生じるという考え方が基本となっています。

 がん細胞は、アクセルやブレーキが壊れた制御の利かない車です。アクセルやブレーキがおかしくなり周りと協調できず、勝手にあちらこちらで増え続けてしまいます。そのアクセルやブレーキが壊れてしまうことを、遺伝子に傷が付くとか、突然変異とか呼んだりします。

 しかし、これはあくまで「考え方」です。実際にそうであるかは、現実に起こった放射線被ばくと、その後の影響から調べられています。

 その最たるものは、広島・長崎に投下された原爆による放射線被ばくです。その結果からは、数百ミリシーベルト以上のたくさんの放射線を受けた方では「がん」になる可能性が増えたことが確認された一方、100ミリシーベルトやそれより少ない放射線の量では、明らかに「がん」が増えたということは確認されませんでした。同様に、遺伝的な影響については見つかっていません。

 今回の原発事故による影響で、放射線被ばくによる明らかな「がん」の増加は考えづらいといわれる大きな根拠の一つです。