行動記録から被ばく調査

 

 県民健康調査の一つである「基本調査」では、事故後4カ月間の居場所の記録(行動記録)を個々人に問診票に記入いただき、その情報を基に4カ月間の外部被ばくがどの程度であったかが調べられてきました。大変な中、一生懸命その当時の行動を思い出し、記入してくださった方が多くおられたとうかがっています。

 福島医大に送付された問診票はまず、居場所の情報が緯度経度の情報に変換されました。行動記録が途切れることなく記載されていれば、情報の変換は容易なのですが、例えばある時点からの情報がない場合や、「○月○日は親戚の家にいた」というような記載のように、情報があいまいであった場合には緯度経度に変換できず、線量が計算できないという問題が生じました。このような不完全な情報については、回答者一人一人に電話で問い合わせを行い、行動記録を補う「補記」という作業が行われました。

 この居場所の情報と、その時間のその場所の空間線量の情報とを組み合わせることにより、一人一人の4カ月間の外部被ばく量の合計が計算されました。この計算を行うプログラムは、もちろん原発事故前には存在せず、2011年11月に千葉にある量子科学技術研究開発機構という研究所で開発されました。