甲状腺の現状見守る検査

 

 県民健康調査の一つである「甲状腺検査」は、震災時点において福島県に在住していた18歳以下の全県民を対象とした、甲状腺に対する検査です。

 甲状腺は、首の真ん中からやや下(喉仏の下)にある10~20グラムぐらいの小さなチョウの形をした臓器で、甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは熱を発生させて汗をかいたり、筋肉や胃腸を活発に動かしたりと、エネルギー代謝の維持やタンパク質の合成といった役割と、子どもの身体や脳の発育・発達を促す役割を持っています。

 1986年のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故では、放出された放射性ヨウ素を含む食品、特に牛乳の摂取により、特に事故時小児であった住民の方々に甲状腺がんが誘発されました。本県においても、放出された放射性物質による健康被害が憂慮されたことが、この検査が始まったきっかけの一つでした。

 甲状腺に対する放射線被ばくを引き起こすのは主に放射性ヨウ素です。放射性ヨウ素の半減期は8日と短く、もう今現在、存在しません。

 そのため、空間線量や食品の検査は、今現在、放射線や放射性物質がどれだけあるのかを調べる検査であるのに対して、甲状腺検査は、その当時のあったかもしれない放射線被ばくなどの影響により、現在の甲状腺の状況がどうかを見守るための検査になります