「腫れ、しこり」良性のものも

 

 県民健康調査の一つである「甲状腺検査」は、震災時点において福島県に在住していた18歳以下の全県民を対象とした、甲状腺に対する検査です。

 甲状腺に関わる病気は数多くありますが、甲状腺検査は、その当時のあったかもしれない放射線被ばくなどの影響により、現在の甲状腺の状況がどうかを見守るための検査であり、エコーの検査が重点的に行われています。

 前回、多く見つかる「嚢胞(のうほう)」は液体のたまりであり、いわゆる「がんの前ぶれ=放っておくとがんになってしまう」ものでは決してないことをお伝えしました。気になるのは腫れや「しこり」です。ただ、この腫れやしこりも、全てが悪性のものでは全くありません。

 「ほくろ」をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。私たちの身体には「ほくろ」ができます。その数が多い人、少ない人とさまざまです。ほくろ=がんではありません。その一方で、ほくろのようなものの中には、皮膚の悪性腫瘍(例えばメラノーマなど)が紛れていることがあるというのも聞いたことがあると思います。実際には見た目や大きさ、どこの場所かなどによって、判断されます。

 甲状腺の腫れやしこりも同様です。超音波の検査で見つかると全てが悪性ということは全くなく、実際には大きさや見た目を慎重に判断し、本当に精密検査が必要と考えられるもののみ、さらに先の検査が行われます。