消費者の理解を得る努力を続ける遠藤組合長。いわき市久之浜町のイベントではかに汁を振る舞った=6日 |
昨年10月から始まった、いわき沖での試験操業は対象魚種を拡大し、漁業再生へ向けて地道な努力が続く。「(汚染水関係の)トラブルのニュースが流れるたびに、前進した歩みが後退させられる」。いわき沖の試験操業の魚を市場へ出荷しているいわき市のいわき仲買組合の遠藤浩光組合長(55)は、根深く残る風評被害の払拭(ふっしょく)の難しさを語った。
遠藤組合長は「凍土遮水壁は実際に機能するのか分からない状況。それがニュースで出て、汚染水が流れてしまっているイメージに結び付いてしまう」と、消費者心理に与える影響を心配する。試験操業は県のモニタリング調査を踏まえて実施しており、さらに漁獲後も放射性物質検査を行い、基準をクリアした魚介類だけが流通している。
遠藤組合長は「検査を行っていることの説明と試食を繰り返し、理解を求めていく」とし、消費者に高品質な「常磐もの」のおいしさを思い出してもらおうと取り組んでいる。市場関係者からいわきの魚を心待ちにする声を聞き、流通には手応えを感じている一方、消費者からは「汚れた海の魚はちょっと...」と敬遠する声を聞かされることもあるという。
「説明に疲れた」と遠藤組合長はため息をつく。「東電は人為的ミスが多い。それは注意していれば防げることなのに」とあきれるように話した。