風評被害払拭に向けた取り組みを進める職員ら=いわき市役所 |
「見せます!いわき情報局見せる課」。ユニークな名前には風評被害払拭(ふっしょく)を目指すいわき市職員の決意がにじみ出る。農政課や水産課、観光振興課などで構成する部局横断の風評被害払拭のプロジェクトチームだ。2012(平成24)年10月の発足以来、情報発信、全国各地でのPR活動、首都圏の消費者を招いたバスツアーの開催などを通して、同市の農林水産物や観光業の安全・安心をアピールしてきた。
「人脈やネットワークの構築を含めて、産業の6次化など今後の施策にも応用できる部分がある」。同プロジェクトを担当する渡辺正俊同市農政課長は成果を強調する。「消費者に放射線量の数値を示すことが、安全・安心の判断材料につながっている」。そんな手応えを感じながらも、行政の想定以上に根深い問題も見えてきた。「流通には行政は立ち入れない。汚染水問題が出てくるたびに単価が下がる」。渡辺課長は苦渋の思いを語る。
原発事故を理由に農家や漁師を辞めた生産者も多く、風評被害払拭に加え、1次産業の従事者の減少、生産力の低下という新たな課題も直面している。