避難指示解除準備区域の双葉町両竹(もろたけ)地区で、野菜に出されている出荷停止指示の解除に向けた初めての試験栽培が行われている。将来の営農再開に向け、解除の可否を判断するためのデータの収集が目的。今月下旬から11月中旬に収穫し、放射性物質の濃度を2回測定する。
試験栽培は県の取り組み。津波被災地の両竹地区に設けた3カ所、計6アールの畑で、出荷停止指示の対象となっているコマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー、カブの5品目を栽培している。
試験栽培には、両竹地区の農地を管理する町農地保全管理組合が協力。畑がイノシシに荒らされていないか見回っているほか、電気柵の点検、農道の補修などに当たっている。組合長の沢上栄さん(69)は「今後の方針を決めるための大事な取り組み。いいデータが出れば」と願う。
一方、コメについては用水の確保ができないため、試験栽培のめどは立っていない。津波で被災した水田の排水性も悪く、除草などの農地の管理に手を焼いているのが現状だ。沢上さんは「本来は水田の基盤整備が必要。水が確保できるまでの間、何ができるのかも考えなければならない」と話す。
営農再開に向けては、町と農業生産法人舞台ファーム(仙台市)が8月、包括連携協定を結んだ。町と同法人は本年度中に農業者、JAなどと連携して営農再開ビジョンを策定し、町の営農の方向性を決める。