東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で不通区間が残っていたJR常磐線は2020年3月14日、富岡―浪江間(20.8キロ)で運転を再開し、9年ぶりに全線がつながった。
臨時駅だったJヴィレッジ駅が常設化され、首都圏と仙台を結ぶ特急列車の運行も再開した。震災の影響で運休が続いていた不通区間は全て解消された。
再開初日の富岡―浪江間の各駅では、地元住民らが「おかえり常磐線」などと書かれた横断幕を掲げたり、和太鼓の演奏を行うなどして列車を出迎え、運行再開を祝福する人たちであふれた。原発事故で避難を強いられた住民らも列車に乗り、思い出の駅舎で降車、復興に向けて一歩ずつ進む古里の様子を確かめた。
常磐線は津波で駅舎や線路が流れるなどしたため、震災直後から運休となった。運休区間は徐々に解消されたが、福島第1原発で大きな被害を受けた富岡―浪江間は最後まで不通区間として残っていた。
JR東日本は2015(平成27)年度から、試験除染や調査を実施。16年3月からは除染や橋の復旧工事などを進め、全線再開の日を迎えた。
不通区間だった各駅も新しく生まれ変わった。双葉駅は橋上化し、東西の自由通路を新設。夜ノ森駅は古い歴史がある駅舎を解体し、東西をつなぐ自由通路を設置した。
再開に合わせ、夜ノ森、大野、双葉の3駅周辺の一部の地区の避難指示も3月に解除された。