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【9月11日付編集日記】揺らぎ

09/11 08:00

 罪を認める代わりに死刑を免れ、終身刑とすることで合意していた米国のある司法取引が先月、破棄された。世界を揺るがせた惨劇の主犯格とされる被告らの裁判は、いまだ見通しが立っていない

 ▼日本人24人を含む約3千人が犠牲になった米中枢同時テロから、23年たった。遺族らからは死刑免除に反発する声が上がっており、テロリストと取引したとの批判を回避する思惑があった可能性が指摘されている

 ▼毎年9月11日が近づくたび、1人の友人を思い出す。旅客機が突っ込み倒壊した世界貿易センタービルからわずかな距離のオフィスにいた彼は、粉じんが駆け抜け、書類が吹雪のように舞うウォール街をやっとのことで抜けだした

 ▼彼が自宅に戻った後、電話で無事を確認でき、ほっとした。あのとき電話がつながらず、胸が張り裂ける思いで、帰りを待ち続けた幾多の人たちがいた。突然、関係が絶たれた人たちの悲しみは、何年たとうとも癒えるものではないだろう

 ▼テロを機に米国が始めたアフガニスタンでの「米史上最長の戦争」は約20年に及んだ。停戦交渉が停滞しているガザ地区の惨状を見るたび、イスラエル支持の姿勢を続けている超大国の揺らぎが透けて見える。 

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