高さ15メートル超の津波が古里と酒蔵を襲った。 東日本大震災当日。その日はまさに、今季の酒造りもいよいよ最終日という「甑倒(こしきだお)し」の日だった。夜は蔵人たちと慰労を兼ねたささやかな酒宴も企画していた。地元で水揚げされたアンコウのどぶ汁などを肴(さかな)に、新酒で一杯やるはずだった。 作業を早めに切り上げようとしていた頃、経験のない地鳴りが響いた。蔵の外へ飛び出すと本格的に揺れ始めた。...
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