「酒になったが?」 東日本大震災前、浪江町の請戸漁港に集まる漁師たちは、互いの漁の具合をそう尋ね合った。「酒になる」とは、その日の水揚げが一定額を超えると、漁協が大漁祝いとして「磐城壽(いわきことぶき)」の一升瓶を船主に贈っていたのだ。「今日は酒になった」「酒にならねえな」。これが地元漁師たちのあいさつだった。 漁師の仕事は「板子一枚下は地獄(船底の板の下の海に落ちれば簡単には生還できないと...
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