環境省は17日、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た土壌の再生利用基準などを盛り込んだ改正省令案について、意見公募を始めた。2月15日まで募集し、4月1日の施行を目指す。基準を定める省令改正は5年前の意見公募で反対の声が多く寄せられ、先送りされた経緯がある。今回は実証事業などで安全性の裏付けを補強しており、意見公募の結果は県外最終処分の実現を占う側面もある。
改正案によると、原発事故からの復興に向けて除去土壌を適切な管理下で使うことを「復興再生利用」と定義。使う土壌を1キロ当たり8千ベクレル以下に限り、周辺住民が追加で受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下に抑える。飛散や流出を防ぐため、表面は一般の土砂などで覆う。再生利用の実施箇所と分かるよう表示し、線量は定期的に測定・記録する。
土壌の最終処分に関しては、遮水工などの地下水汚染防止措置を講じ、外部と接する開口部を閉鎖する。放射線量は定期的に測定・記録する。
同省は当初、2020年4月の省令改正を目指したが、意見公募で「説明不足」などの指摘を含む2854件の声が寄せられ、制定を見送っていた。今回は除去土壌を農地や道路に再生利用する実証事業を重ねたほか、国の放射線審議会に基準案を諮問するなどし、説明材料を蓄積したという。
ウェブサイト「電子政府の総合窓口」に省令案や募集要領を掲載している。意見は同サイトか郵送で提出する。
問い合わせは同省環境再生施設整備担当参事官室(電話03・5521・8350)へ。