大七酒造は23日、二本松市の同酒蔵で、真言宗の開祖空海(弘法大師)に供えられる純米大吟醸のもろみに、霊場・高野山(和歌山県高野町)の奥の院を流れる沢水を加える「注水の儀」を行った。
大師に酒を供える役目の高野山別格本山三宝院が二本松藩丹羽家の菩提(ぼだい)寺という縁で、2015年に同山開創1200年記念大法会で奉納する記念酒を醸造してから毎年、奉納酒を仕込んでいる。
同院の飛鷹(ひだか)全隆(ぜんりゅう)住職が同酒蔵を訪れ、儀式を執り行った。飛鷹住職が祈祷(きとう)し、16日の取水の儀で奥の院の聖域からくまれた沢水を清めた。この後、同蔵元杜氏(とうじ)の佐藤孝信さんが沢水を2千リットルの仕込みタンクに注ぎ入れた。
飛鷹住職は「大七酒造と貴重なご縁をいただき、今年も無事に儀式を終えることができた」と述べた。大七酒造の太田英晴社長は「このご縁を大切に、今後とも末永く続けていきたい」と話した。
同酒蔵によると、沢水が注水された酒は、720ミリリットル換算で2千本程度できるという。瓶詰めされた後に4年ほど低温熟成され、高野山の壇上伽藍(がらん)中心部にある「御影堂」に奉納される。
また、生(きもと)純米大吟醸雫原酒「玉依御前(たまよりごぜん)亀鏡(ききょう)」として一般にも販売される。