県と大熊、双葉の両町は25日、東京電力福島第1原発で溶け落ちた核燃料(デブリ)の分析・研究施設を、第1原発構内に新設することに同意した。東電によると、今月中に着工し、2026年度の運用開始を目指す。昨年11月に採取したデブリは茨城県内の施設に輸送したが、運用開始後は原発構内でも分析が可能になり、東電は分析の効率化につながると期待する。
新施設の名称は「放射性物質分析・研究施設第2棟」で日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する。地上2階地下1階建てで、延べ床面積は約3300平方メートル。デブリのほか、汚染水の浄化過程で出る廃棄物などの分析も想定する。東電によると、放射線量が極めて高い物質を取り扱うため、放射性物質の漏えい、地震や津波といった自然災害などへの対策を講じ、安全性を確保した施設とする計画だ。
東電は県、2町との安全協定に基づき、第2棟新設の事前了解を申請していた。県などは有識者や原発周辺市町村などでつくる検討会が東電の計画を妥当だと評価したことを踏まえ、新設に同意した。
東電は昨年11月、2号機からのデブリの試験的取り出しに初めて成功。4月にも2回目の取り出しに着手する方針を示している。