東京電力福島第1原発事故後の除染で出た土壌などを巡り、環境省は22日、県外最終処分に向けた取り組みの状況を県と大熊、双葉両町に説明した。同省が3月に今後20年間の工程表を策定後、中間貯蔵施設の立地自治体への公開説明は初めて。地元側からは、最終処分候補地の選定作業を早期に開始するよう求める意見が相次いだ。
国などが同施設環境安全委員会を大熊町で開き、自治体担当者や地元住民、学識経験者ら計約40人が出席した。同省は、2045年3月までの工程表や技術シナリオについて説明した。
双葉町の森隆史副町長は「これからの20年間が正念場だ。プロセスの具体化に時間を費やすことなく、速やかに候補地の選定・調査に取り組んでほしい」と要望。大熊町の新保隆志副町長も「地域へのインセンティブ(動機付け)を含めて早めに提示し、具体的な選定プロセスを決める必要がある」と続けた。
工程表は最も難航が予想される処分候補地の選定・調査について、具体的な開始時期や期限を明示していない。同省の担当者は「これから検討を進めていかなければいけない」と語った。
同省はまた、3月に閉館した中間貯蔵工事情報センター(大熊町)の来館者数は、19年1月の開館後累計3万4513人だったと公表した。後継の中間貯蔵事業情報センターが3月、JR大野駅前に開設されている。