クラシック音楽の世界三大コンクールに数えられ日本では最も著名なショパン国際ピアノコンクールの開幕が10月2日に迫り、大舞台に挑む郡山市出身の山﨑亮汰さん(26)が福島民友新聞社の取材にメールで応じた。「自分の思い描くショパンの音楽を100%届けられるよう全力を尽くす」と意気込みをみせる。
年齢制限により山﨑さんは最初で最後の挑戦となる見通し。米国を拠点に腕を磨き、2023年のブゾーニ国際ピアノコンクールで3位入賞など世界での評価は着実に高まっている。ショパン・コンクールの春の予備予選でも生配信が多くのファンの心をつかんだ。期待が膨らむ有望株だ。
―世界で出場権を得たのは80人余、日本人は13人。競う演奏者の名前を見た感想は。「世界中の素晴らしいピアニストたちの名前に圧倒されたが、改めて世界最高峰のコンクールに挑戦しているんだという気持ちになり、一層気合いが入った」
―本大会の演奏曲選定の作戦は、いつ決めたか。
「選曲は昨年9月に応募を決めた段階である程度。今回は各ステージで課題曲が明確に決められていて、いつもより自由に選べないが、自分の長所が生かせるプログラムになったと思う。1次予選で演奏する予定のバラード第1番はショパンの曲で一番好き。何十回も本番で演奏してきた『相棒』のような曲で、情熱的でドラマチックで切なくて繊細な、ショパンの音楽の魅力が詰まった作品だと思う」
―練習の様子と現在の状況は。
「練習でくじけそうになることは何度もある。特に本番が近づくと暗譜が飛んでしまったり、今まで弾けていたところが急に弾けなくなってしまったり。そういう時は一旦練習をやめて、友達と食事したり、少し寝たりしてリフレッシュするようにしている。現在は総仕上げの段階で、食事中も睡眠中も曲が頭の中で流れてくるぐらい、音楽に集中している」
―演奏で目指すこと、そして今の意気込みは。
「演奏中は自分の存在をアピールすることよりも、曲の素晴らしさを伝えられるように心がけている。ショパンコンクールに出場することは僕の音楽人生の中でも最も重要な経験。ずっと憧れていたコンクールに出場するからには良い結果が出るよう頑張りたいが、自分の思い描くショパンの音楽を100%届けられるよう全力を尽くしたい。応援よろしくお願いします」
牛田さん(いわき生まれ)も出場
4年ぶりとなる今回のショパン・コンクールには、いわき市生まれの牛田智大(ともはる)さん(25)も予備予選免除で出場する。世界の若き精鋭が集う中で1次予選が10月3日に始まり、最終成績が決まるのは同20日の予定。日本人は過去18回で2位が2人いるだけで、審査結果が注目される。
◇
ショパン国際ピアノコンクール ショパンを生んだポーランドが国を挙げて数年ごとに開催し、世界最高峰とも称される。ショパンの作品から課題が示され、年齢制限や国際大会での実績の評価、書類・映像審査、予備予選の厳しい審査を通過した約80人が首都ワルシャワの舞台に立てる。本大会は1~3次予選で10人に絞られ、最終の本選で決する。