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障害者相談「メタバースで」 会津若松市10月1日開設、匿名で気軽に交流

2025/10/01 08:35

メタバース上の「あかべこ相談ルーム(個別相談室)」

 会津若松市は1日、障害者やひきこもり状態の市民、その家族を対象にしたオンライン相談窓口を開設する。インターネットの仮想空間「メタバース」を活用し、アバター(分身)で相談支援専門員に個別相談できる。身体的、精神的に対面での相談や来庁が困難な場合でも匿名で気軽に相談できる場を設け、支援体制の充実を図る。

 室井照平市長が30日、定例記者会見で発表した。市によると、障害分野でメタバースを活用した相談支援は県内初で、全国的にも先進的な取り組みという。

 市によると、メタバース上に「あかべこ相談ルーム(個別相談室)」と「エントランス(共有スペース)」を設定。相談室の利用は事前予約制で、相談支援専門員9人が交代で応じる。鶴ケ城や赤べこが登場し、落ち着いた雰囲気を演出。匿名でやりとりできるが、状況に合わせて個人情報を含めた相談も可能という。

 エントランスには最大24人が同時入室でき、誰でも参加できる。障害者やひきこもり支援に関する市の情報を閲覧できるほか、文字や音声で利用者同士が会話できる。メタバースは市のホームページから接続できる。人工知能(AI)事業などを手がける「リプロネクスト」(新潟市)にサービスを委託している。

 障害者の支援を巡り、市は現在、各地域に設置した相談窓口や訪問活動で対応している。しかし、対面での会話を苦手とする対象者には会うことができず、必要な支援が見えないなどの課題があった。室井市長は「アバターの豊かな動き、表情などを交えながら気軽に交流できる。来庁するハードルが高い方にとっても使いやすいし、対面に近い形で電話よりは相談しやすくなるのではないか」と話した。

 ICTを積極活用

 デジタル技術を生活に取り入れる「スマートシティー」に取り組む会津若松市は、さまざまな分野で情報通信技術(ICT)の活用を進めている。行政手続きでは「行かない」「書かない」などを掲げ、オンラインでの手続き申請を推進。AIによる総合窓口案内も導入しており、市民サービスの向上や業務の効率化を図っている。

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