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病を乗り越え舞台に インザウインド、郡山で11月2日ライブ

2025/10/06 08:20

「皆さんに喜んでもらえるステージを見せたい」と意気込む美一さん(左)と陽子さん

 郡山市の菊地美一さん(73)、陽子さん(69)夫妻による音楽デュオ「インザウインド」は11月2日午後1時半から、同市公会堂でコンサートを開く。肺に難病を抱えながら「歌うこと」を諦めなかった陽子さん。支えてきた美一さんにもがんが見つかった。助け合って困難を乗り越えてきた2人が約1年ぶりに本格的なステージに立つ。

 2人は大学のフォークソングクラブの先輩、後輩として出会い、コピーバンドを結成した。約20年前に本格的に活動を再開すると、東日本大震災後は避難所などを回り、47都道府県で歌声を届けた。

 陽子さんの体に異変が起きたのは2022年冬。咳が多くなり、難病の「特発性上葉型間質性肺炎」と診断された。その後も活動は続けてきたが、今年1月に体調が急変し、集中治療室へ。約3カ月間入院し、自宅に戻ってからもほとんど寝たきりの状態になった。「もうステージに立つのは難しいかも」。そんな思いがよぎる中、美一さんにも昨年11月に前立腺がん、今年5月には大腸がんが見つかった。

 「何とか(美一さんに)恩返しをしたい」。陽子さんは医師の助言を基に食事内容を変え、まずは一人でトイレまで行けるようにした。体重が戻り始め、少しずつ歩けるようになり、休みながらだが、台所で調理ができるまで回復した。ベッドで過ごすつらい日々も気が付けば歌を口ずさんでいた。「自分にとって歌うことは空気のようなもの」との思いを新たにした。

 今回は昨年12月以来の本格的なステージで、陽子さんの復活コンサートと位置付けた。古くからの音楽仲間の塩沢尚太さん(60)も加わり、3人の「インザウインド」で臨む。

 陽子さんは酸素を吸入しながら、休み休みで歌う。それでも「一つ一つ階段を上って少しずつやれることが増えてきた」と手応えを口にし「今は歌えるだけで幸せ。一曲だけでも立って歌いたい。皆さんにお会いできるのが楽しみ」と笑顔を見せた。8月に手術をしたばかりの美一さんも「ステージに立てば痛みは忘れる。3人で皆さんに喜んでもらえるように歌いたい」と意気込みを語った。

 チケットは1000円。問い合わせは事務局(電話090・3756・9295)へ。

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