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【10月21日付社説】連立合意/維新は国政担う責任自覚を

2025/10/21 08:10

 自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が、連立政権樹立で合意した。維新は、きょう行われる首相指名選挙で高市氏に投票する。衆院で両会派の議席を合わせると過半数近くになることから、高市氏が首相に選任される見通しになった。3カ月前の国政選挙で対立構図にあった政党間の連立だけに、目指す政策などについて十分な説明が求められる。

 政権の枠組みは、公明党が自民との連立を解消したことで一気に流動化していた。維新は立憲民主、国民民主の野党3党で連携する道もあったが、吉村代表が高市総裁と面会して自民と距離を詰め、2党での政策協議を選んだ。維新が提示した12項目の政策要求を自民が了承したことから、連立政権が樹立される流れになった。

 自民は連立合意で首相指名選挙を乗り切り、第1党として政権運営を継続することになったが、維新と合わせても衆参両院ともに多数を占める状況にはない。両党は少数与党であることを自覚し、法案成立には丁寧に野党の協力を求めるなどして、政治の安定と政策の実現を心がけてもらいたい。

 国政選挙で与党が議席を減らした原因は、自民の「政治とカネ」の問題だった。公明が自民との連立を解消したのも、企業・団体献金を巡る改革に自民が後ろ向きだったからだ。しかし、今回の連立合意では、企業・団体献金の廃止について、高市氏の総裁任期である2027年9月までに結論を得ると申し合わせるにとどまった。

 早くも野党からは、維新が「連立の絶対条件」と主張した、国会議員の定数削減について「献金問題とすりかえている」との声が上がる。「政治とカネ」の問題は国民の関心が高く、維新は自民の姿勢を批判してきた経緯がある。維新は政権入りするからには、自民の背を押し、規制強化や制度改正を前進させるべきだ。

 維新は、自民から提案された閣内協力ではなく、大臣や副大臣などを出さない閣外協力という形で連立を組む意向だ。与党の一角として、政府が提出する法案などの事前審査に加わり、維新の考えを政策に反映させていく構えだ。

 両党の合意政策には、副首都構想が含まれる。維新は大阪に地盤を持ち、「大阪都構想」を主導してきた政党だ。副首都をどこにするのかの判断で、公平性は保たれるのか。議員定数削減は民意の反映に関わる重要な問題だが、なぜ早急に行う必要があるのかなどの理由はあいまいだ。維新は、党利を押し通すための連立と指弾されないよう責任ある行動が必要だ。

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