全国的な酒米の価格高騰を受け、福島県会津若松市の老舗酒造会社「山口」は今季の日本酒の仕込みを見送る方針を固めた。同社は福島民友新聞社の取材に「酒米の高騰が主な理由。総合的に判断した」とした。
同社は江戸時代前期の1643年創業。「会州一」「儀兵衛」などの銘柄で知られる。会州一は全国新酒鑑評会で2023、24年と連続で金賞を受けるなど、高い評価を受けている。今季の仕込みを見送ることから、市が本年度に創設した原料米購入費の支援制度に申請していなかった。
酒米の価格高騰について、県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さんは「酒を造ると赤字になる酒蔵もあり、価格転嫁しないと追い付かない状況。生産量を減らす予定の酒蔵も多く、消費者の『買い控え』が危惧される」と話している。
酒米の価格高騰に関する支援を巡っては、県が9月の補正予算で県内酒蔵を対象に24年産米から25年産米の価格上昇分の一部補助を決めている。
