「面白いデータが出るとわくわくする」。大阪大特任教授の坂口志文さん(74)の妻教子さん(71)は夫婦で臨んだ記者会見で目を輝かせた。自身も研究者の教子さんは、坂口さんとの共著論文も多く、現在も同じ研究室で活動する。互いの関係をそろって「同志」と表現。「1人じゃなくて2人で問題に対処してきた」と語り合った。
坂口さんは1977年から約2年半、愛知県がんセンター研究所で学んだ。学生だった教子さんは夏休みに偶然、坂口さんが所属していた研究室を訪問、実験に没頭する姿を見て「すごく気になった」と笑顔で当時を振り返った。
結婚し、坂口さんが渡米した際も同行。当時はほぼ2人で研究していたという。ノーベル生理学・医学賞の授賞理由となった「制御性T細胞」を巡っても器用な教子さんが細かい実験を、教子さんが苦手なマウスの実験を坂口さんが担った。
「もともと皮膚科の医者だった」という教子さん。研究という営みについて「創造的だ」と魅力を語る。