健康管理は幅広い視点で

 

 放射線被ばくによる身体への影響は、その「量」の問題です。原発事故に伴う被ばく量が多くなりすぎないようにするため、さまざまな対策や検査がこれまでなされてきました。しかし、健康自体は放射線被ばくだけで決まるものではもちろんありません。健康に影響を及ぼすさまざまな事柄を知り、バランス良くコントロールすることが重要です。

 今回の震災および原発事故後、問題となっている病気の一つに糖尿病があります。
 糖尿病の多くは食べ過ぎ・運動不足・ストレスといった生活習慣が原因となります。

 金属を空気と水にさらしているとさびてくるように、血液中の糖分が多い状態が長く続くと、その糖分にさらされるせいで血管や組織が傷ついてしまいます。高血糖に伴う臓器へのダメージを防ぐため、食事を控えめにしたり、運動をして糖分を消費したり、薬を使って血糖値を下げたりする必要があるのです。

 糖尿病はそれ自体よりも血管・目・神経・腎臓などでおこる合併症が深刻な結果をもたらします。しかし、それらの合併症は「これから」の血糖値のコントロールで減らすことができます。ありふれた病気かもしれませんが、現在の健康にとって最も重要な病気の一つです。