廃棄物、濃度に応じて管理

 

 原発をはじめとする原子力の関連施設や研究機関、放射性医薬品を利用する病院など、放射性物質を扱っている区域からはさまざまな「放射性廃棄物」が出ます。一般の廃棄物や産業廃棄物といった非放射性廃棄物に比べ、放射性廃棄物の出る量は1万分の1以下と少ないものの、その種類と放射性物質の濃度に応じて適切に管理される必要があります。

 原子力施設から出る放射性廃棄物は一般に、使用済み燃料を再処理し、まだ使えるウランやプルトニウムを回収した後に残る廃液である「高レベル放射性廃棄物」と、それ以外の原発の運転などに伴い発生する「低レベル放射性廃棄物」に大別されます。原発以外から出るものとしては、研究施設の建物のコンクリートや配管、紙や布、ゴム手袋、洗浄廃液、実験機材なども低レベル放射性廃棄物となります。

 ただしこの分け方は、原子力施設の稼働に伴って出る放射性廃棄物の分け方でした。今回の原発事故により、環境に放出された放射性物質で汚染されたものについては、2011(平成23)年8月に放射性物質汚染対処特措法が公布され、従来の放射性廃棄物とは異なる「(焼却灰や下水汚泥といった)指定廃棄物」や「対策地域内廃棄物」として管理されています。