高レベル廃棄物、処分課題

 

 原子力施設から出る放射性廃棄物は、高レベルと低レベル放射性廃棄物に分けられます。高レベル放射性廃棄物とは使用済み燃料を海外で再処理し、まだ使えるウランやプルトニウムを回収した後に残る廃液のことでした。安全性を保つため、廃液は溶けたガラスと混ぜて固めた後、専用の容器に入れて管理されます。

 この高レベル放射性廃棄物をどこでどのように最終的に処分するかは、日本だけでなく原子力を利用してきたすべての国に共通する課題です。多くの国が地下深く、岩盤がしっかりして誰も近づかない安全な場所に隔離(=地層処分)しようとしています。そのためには処分地を選定し、実際に施設を建てる必要があるわけですが、その計画と実行には少なくとも数十年以上の期間を必要とし、進み具合は国によって大きく異なります。

 最も進んでいるのが北欧のフィンランドとスウェーデンです。これらの国では処分地が既に決定しています。特にフィンランドでは世界で唯一、最終処分施設の建設が開始されています。

 一方、日本では現在、青森県六ケ所村にて冷却のため一時貯蔵されているものの、アメリカやイギリス、カナダと同じく、どこで最終処分を行うか、その候補地は決まっていません。