がんは「制御利かない車」

 

 現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかの「がん」になります。また約5人に1人はがんによって命を落とすことが知られています。がんは全ての人に起こり得る身近な病気です。このがんとは何か説明したいと思います。

 運転中、私たちは道路状況を見てアクセルとブレーキを適切に踏み分けながら車を動かしています。アクセルが踏まれっぱなしになったり、ブレーキが壊れて踏めなくなったりすると、車が止まらず事故につながります。

 私たちの身体の中にあるたくさんの細胞にも、このアクセルとブレーキがあります。体の状態に合わせて、分裂して増えたり(アクセル)、逆に必要がなくなれば増えることをやめたり(ブレーキ)しているのです。例えば腕にけがをすると、皮膚の細胞が増えて傷口をふさぎますが、傷が治れば増殖は止まります。

 一方、がん細胞ではそのアクセルやブレーキが壊れているため、増え続けてしまいます。勝手に増えるため、周りの大切な臓器が壊れたり、別の場所でも増えたりしてしまうのです。

 そのアクセルやブレーキが壊れることを、俗に私たちは遺伝子に傷がつくと呼んでおり、その原因として放射線や悪い生活習慣などさまざまなものがあるのです。