患者数で影響判断しない

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 震災後の私たちの健康の状況を知りたいとき、病気の人数が増えた・減ったといった多くの数字が登場します。これらの数字は分かりやすい反面、その意味を知るにはいくつかの注意が必要です。

 前回、手術方法や器具が開発されたり、治療の指針や検査方法が変更されたりすると、それだけで患者さんの人数が増える場合があることを紹介しました。この増加は、患者さんが数人増えるといったものにとどまらず、以前と比べ数倍、時によっては数十倍に人数が増えるような時もあります。

 震災後、患者さんの人数が○○倍とか聞くと、放射線被ばくが関係するのではないかと疑いたくなる人もおられるかと思います。しかし、放射線被ばくによる身体への影響はその「量」の問題です。広島・長崎をはじめ、これまでの不幸な経験から、私たちは放射線を受けた「量」がどれくらいであれば、患者さんの人数が増えてしまうのか、を知っています。

 放射線による影響があるかどうかは、放射線の「量」によって判断されるもので、患者さんの人数が増えたかどうかで判断されるものではないです。「患者さんの人数が、震災前に比べて○○倍に増えた。しかし、放射線被ばくによる影響とは考えられない」これは矛盾した言葉では全くないのです。