「安定ヨウ素剤」安全に内服

 

 今回の原発事故をきっかけに原子力事故に対する備えをしっかりと行うことの重要性が再認識されました。それに合わせて、さまざまな制度やするべき備えが改変されています。

 備えの一つが、「安定ヨウ素剤」の配布と備蓄です。原発事故直後に飛び散る可能性のある「放射性ヨウ素」が身体の中に入る前に、通常のヨウ素をたくさんとることで甲状腺を満たし、「放射性ヨウ素」が甲状腺に入り込むスキを奪うのが「安定ヨウ素剤」です。

 「安定ヨウ素剤」は小さい玉のものが主流ですが、近ごろはゼリー状のものもあり、小さい子どもでも飲みやすくなっています。

 小さい子どもも飲むとなると副作用を心配する方もおられると思います。実際に今回の事故後には「安定ヨウ素剤」が配布された場合でも、さまざまな理由で数割の方が子どもに内服させなかったことが知られています。

 しかし、これまでの経験からも、ほとんどの方の場合「安定ヨウ素剤」は安全に内服できます。今回の事故後も重篤な副作用は報告されていません。

 しかしながら、いくつかの注意もあります。新生児ならびに妊娠中の婦人については「安定ヨウ素剤」を繰り返し内服するべきではありません。また、ヨウ素に対して過敏症やアレルギーを持つ方は内服できません。甲状腺の病気や肺結核、腎不全、特殊な皮膚炎、血管炎を持つ方では、病状を悪化させたり、アレルギー反応が強く起きたりすることがあります。内服に注意が必要な場合もあり、不安な方はあらかじめ医師に相談されることをお勧めします。