首都圏・消費者の反応『鍵』 風評被害払拭へきめ細かい情報発信

 
きめ細かな情報発信には対面販売が有効な手段として期待される

 県の農水産物の売り上げに大きな影響を及ぼしている風評被害。県内ではコメなどの放射性物質検査などが広く知られているものの、県外ではあまり知られていないのが現状だ。風評被害の払拭(ふっしょく)には、消費者に対するきめ細かい情報発信が鍵となる。

 県内58の農業法人でつくる「うつくしまふくしま農業法人協会」は今月から、首都圏を拠点とする都市型八百屋「旬八青果店」への県産農畜産物の出荷を本格的に始めた。

 「福島から仕入れる農畜産物は国が定めた(放射性物質濃度の)基準を守っている。安全でおいしい福島の産品が都市部の食卓に並ぶよう自信を持って販売していく」。同店を経営するベンチャー企業アグリゲート(東京)の左今克憲社長・最高経営責任者(CEO)は語る。

 左今社長は同協会と業務提携するに当たり、県内の農業法人の元に足を運び、生産現場の取り組みを確認した。だからこそ、品質と安全性への自信を強めた。

 店内では販売員が消費者と直接接する。左今社長は「消費者が安心できるかどうか、接客販売を通じて聞き取る内容から対応に反映させたい」と力を込める。

 首都圏の消費者が示す反応は、本県の生産者にとっても一層の品質向上への鍵を握る。同協会の高橋良行会長は「出荷前の検査を徹底しており、安全性は自負している。それでも不安だという意見が出れば、次の一手を考えることになり、今後の安全対策がスピードアップする」と期待する。