長引く避難生活...被災者の悩み『多様化』 心と向き合い支える

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 長引く避難生活。道半ばの復興事業。生まれ変わろうとしている双葉郡や避難先の各地域では今なお、心の傷が残る人たちもいる。激変した環境の中でさまざまな悩みを抱える人たちの「心の健康」を支える取り組みが継続して行われている。

 訪問相談、スタッフ奮闘「自分らしく暮らせるように」

 【ふたば出張所】「一人一人が自分らしく暮らせるよう寄り添っていく」。ふくしま心のケアセンターふたば出張所(富岡町)の保健師鈴木文子さん(49)らスタッフは、被災者の心と向き合い元気を取り戻せるよう奮闘している。

 ふたば出張所は2017(平成29)年12月に開所した。スタッフは保健師や看護師、臨床心理士、精神保健福祉士ら6人。いずれも津波で大きな被害を受け、原発事故で全町避難を余儀なくされた富岡、楢葉、広野3町を活動範囲に支援を行っている。

 出張所の一日は、朝の打ち合わせから始まる。それぞれが業務内容を確認し合った後、訪問相談に向かうなどスタッフたちが動きだす。

 町に戻った住民が抱えている心の問題はさまざまだ。食欲低下や高血圧などの身体症状、いらいらや意欲減退、寝付けないなどの睡眠問題。長期に及んだ避難生活やコミュニティーの分断などから一人一人の悩みやストレスは多様化している。震災と原発事故で思い描いていた人生が途切れてしまい、見通せない将来に不安を募らせる人もいる。

 スタッフは2人体制で相談を求める住民の自宅を訪ね歩く。人数が多くないため訪問件数は限られるが、その分、時間をかけて丁寧に話を聞く。働き盛りの世代からの相談も多く、家族を含めて支援するケースもあるという。夕方、スタッフが各訪問先から事務所に戻ると成果を共有、支援の充実につなげている。

 今春、一部地域の避難指示が解除される見通しの大熊町も相談業務の対象範囲となる。スタッフで精神保健福祉士の松島輝明さん(32)は「深刻そうに見えなくても精神的に落ち込んでいる人もいる。一人一人が今後どうしていきたいのかを尊重し、複雑な心の状態を解きほぐしたい」と力を込めた。