双葉・中野地区に「アーカイブ施設」整備 震災と原発事故後世に

 
双葉町中野に建設されるアーカイブ拠点施設の内観イメージ

 震災に加え、原発事故という未曽有の複合災害に見舞われた県内では、震災と原発事故による被害と教訓を後世に伝える「アーカイブ拠点施設(震災記録施設)」の整備が進む。県は2月、原発事故で避難指示解除準備区域となった双葉町中野地区で建設に着手。2020年東京五輪・パラリンピックに合わせた開館を目指している。

 施設は地上3階建てで、延べ床面積5256平方メートル。被災直後から復旧・復興の過程で使用、作成された物や紙、写真、映像・音声を関連資料として保存、公開する。震災の体験や教訓などを伝える「語り部」が活動する場も設ける方針だ。県は福島大などと連携して関連資料を探しており、寄贈も受け付けている。昨年12月末現在で浜通りを中心とした県内各地の約15万9000点を収集した。

 同町は中野地区の避難指示について、20年3月末ごろまでの解除を目指している。施設周辺には、復興祈念公園や双葉町産業交流センターも整備される予定だ。

 富岡には解体駅舎の看板展示へ 

 県内には独自のアーカイブ施設を目指す動きもある。富岡町は2020年度開所を目指し、町役場近くに施設を整備する計画だ。複合災害で得た教訓を継承、復興へ向かう地域の姿を発信する拠点としたい考え。

 施設には、老朽化などにより解体が進むJR夜ノ森駅舎の看板や時刻表、未配達の新聞、震災対応に当たった町災害対策本部の写真などを展示する予定。開設に向け、資料の収集や施設の規模に関する調査が大詰めを迎えている。