職員による不祥事を旧経営陣が隠蔽(いんぺい)していた県商工信用組合(郡山市)で、新たな不祥事隠蔽が21日に発覚した。東北財務局に業務改善計画を提出し、役職員が信頼回復に取り組むさなかに再び隠蔽が発覚したことで、経営管理や法令順守が今一度問われることになる。
同信組は業務改善計画に関連して8月に職員アンケートを実施し、類似した不祥事がないかを調査。その結果、今回の新たな不祥事と隠蔽が明らかになったという。
今回の不祥事を起こした男性職員と関係があった職員が今も信組内に在籍しているのにも関わらず、最初の不祥事隠蔽が3月に発覚した際にも報告が上がることはなかった。同信組によると、この職員は不祥事を申告しなかった理由について「既に自分は処分を受けており、役員を通じて監督官庁に不祥事は伝わっているものだと思っていた」と話しているという。
同信組は21日、9月に公表した職員による私文書偽造を巡り、新たに職員の虚偽報告が判明したとも発表した。融資の際に保証人に提出してもらう私文書を男性職員が偽造していた不祥事で、管理職の女性が保証人の名前を代筆していたことが新たに発覚したという。当初は日付のみを補記したと説明していた。今後懲戒処分を検討する。
同信組は、新たな不祥事隠蔽と虚偽報告のどちらも「法令順守の意識が役職員に根付いていないことが要因であると認識している」と説明。「法令順守を重視した企業風土を醸成し信頼回復に努める」としている。
業務改善計画「改めて検証」
福島財務事務所は「誠に遺憾。今般の事案を踏まえ、既に提出を受けている業務改善計画の内容や実効性を改めて検証する」とするコメントを出した。また、「役職員のコンプライアンス(法令順守)重視の企業風土醸成に向けた取り組みなど、法令順守や経営管理の体制確立強化へ各施策の履行状況をしっかりと確認したい」とした。
県内4信用組合でつくる県信用組合協会の梅沢国夫会長(相双五城信用組合理事長)は相次ぐ不祥事を謝罪した上で「内部のチェック体制などガバナンス(企業統治)を効かせ、透明性の高い誠実な組合運営に努めてほしい」と話した。
