県商工信用組合(郡山市)の職員による不祥事や、旧経営陣が不祥事を隠蔽(いんぺい)していた問題を巡り、同信組は21日、新たに1440万円の不正融資や浮き貸しが発覚、旧経営陣が隠蔽していたと発表した。不祥事の隠蔽は計9件となった。
新たな不正融資と隠蔽は業務改善計画に関連し8月に実施した職員アンケートで発覚した。信組によると、2016年1~7月、コスモス通り支店に勤務していた男性職員=当時(25)=が用意した印鑑と代筆で不正に顧客名義の普通預金口座を七つ開設、5件計1140万円の不正融資と2件の不正融資未遂を行った。
男性職員は入金した金のうち300万円を取引先に貸し付けた。残りの840万円は口座にそのまま残っていた。当時の管理職が16年7月に把握、不正融資と口座は全て返済や解約の処理がされた。男性職員は聞き取りに「実績を上げたかった」と答えたという。
管理職は役員に報告したものの、旧経営陣が隠蔽し、監督官庁へ報告していなかった。男性職員は17年4月に自主退職した。既に時効が成立しているため警察へ届け出はしていない。今後、旧経営陣の処分を検討するとともに、現経営陣は役員報酬の一部を返納する。
信組は今年3月に一連の不祥事と8件の不祥事隠蔽を公表したが、この際の調査では今回の不祥事は明らかにならなかった。信組は「類似案件の調査は行ったが、職員からの申告がなく把握できなかった」とし「報告がなかったのは法令順守の意識が根付いていない表れ。信頼回復へ今一度猛省し、健全な業務運営に取り組む」とコメントした。
