DNA、物質作る「設計図」

 

 私たちの身体をつくる約60兆個の細胞の中では、生きていくために毎日、多くの必要な物質が作られたり壊されたりしています。そのために必要なのがDNA(ディーエヌエー)と呼ばれるものです。DNAは物質としては、細胞の中心にある核の中にあり、はしごがねじれたような形をしています。放射線によってダメージを受けると聞いたこともあるかも知れません。

 DNAは生物が生きていくために必要な全ての設計図の原本を集めた、巨大な辞典のような役割を持っています。A・T・G・Cという四つの文字だけを並べることによって書かれた暗号のような辞典です。

 DNAは全ての情報が含まれている大きな辞典のため、何か物(タンパク質)を作るとき、原本である巨大な辞典を毎回持って来て、開いて調べるのは大変です。そのため、生物はその大きな辞典から、必要な設計図のところだけコピーを取り、そのコピーされた設計図を使って、タンパク質を作るのです。

 その必要な部分だけコピーされた設計図のことを、今度はRNA(アールエヌエー)と呼びます。新型コロナウイルス感染症に対するワクチンも、このRNAが使われていました。ウイルス全体ではなく一部の設計図を身体に投与することで、身体がそのウイルスの一部に対し抗体を作れるようになるのです。一部の設計図のため、ウイルスに感染することはありません。

 放射線による影響を考えるためにDNAに関することを少し復習していきたいと思います。