身体に修復ミスへの備え

 

 DNA(ディーエヌエー)は生物が生きていくために必要な全ての設計図の原本を集めた、巨大な辞典です。左手と右手のように、対となるもの二つがセットになって存在し、ハシゴをねじったような構造をしています。

 対となっているため、片方が傷を受けても、もう片方を鋳型にして、修復をすることができます。例えば、DNAが放射線などにより傷を受ける場合、右側がダメージを受けたら、左側を鋳型にして修復したり、左側の場合は右側を鋳型にしたりします。

 そこで問題となるのが、このハシゴの左右の支柱、両方が切れてしまうような場合です。DNA二本鎖切断とも言われますが、両方の支柱が切れるため、ハシゴが完全に分断してしまうということになります。

 そのような場合、ハシゴの左右両方が切れてしまうため、その切れ端あたりの情報が消失してしまったり、別のハシゴが切れたところと間違って接続してしまったりということが起こります。

 もちろん身体はそのような修復のミスを起こさないよう、別の位置にある情報を使って、その切れ端を修復するといったような機構が備わっています。そして、もし修復が失敗し、細胞の機能がおかしくなる場合には、最終的にその細胞自体の機能を停止させて、周辺に影響が及ばないようにするというシステムも備わっています。