震災後、糖尿病が増加傾向

 

 災害の影響はその災害が起こった直後だけにとどまりません。例えば、水害による影響は、水が引いたら、全て元通りというわけにはいきません。水が引いても環境が変わり、私たちの生活もさまざまに変わってしまうため、それに伴う健康への影響を受けてしまいます。

 原発事故後も同様に、放射線被ばくに伴う直接的な影響にとどまらず、生活環境が変化するためにさまざまな間接的・二次的な健康影響が問題となりました。現在も継続的に対策の必要なものもあります。

 その中で最たるものの一つが、生活習慣病、特に糖尿病です。糖尿病は血糖値が高い状態が続き、体の中の血管がさびてしまうことで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクとなってしまう病気です。病院やクリニックでは、採血することでHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という、数カ月間の血糖値の平均がどの程度かを示す検査を行い、状況をチェックすることが多いです。

 健康診断などでも行われるこの検査は、県民健康調査でも行われています。県民健康調査の結果からは、このHbA1cがやや高め(5.8%以上)で糖尿病に近い状態になっている方、および既に糖尿病の方の割合は40歳以上の成人・高齢者で、震災後の2011年から19年にかけて、ずっと上昇傾向(つまり増えている)ということが分かっています。今後も継続的に注意が必要な病気の一つです。