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【7月22日付社説】参院選・与党過半数割れ/首相続投に展望はあるのか

2025/07/22 08:10

 第27回参院選の結果が確定し、衆参ともに自民、公明両党の与党が少数となる異例の政治状況が生まれた。国政を停滞させないためには、予算案や法案の成立に向け多数を形成する努力が必要だが、与野党間の隔たりは大きい。各党には、選挙で示された民意を尊重した責任ある対応を求めたい。

 石破茂首相は選挙前、参院での過半数を維持するため自公で50議席の獲得を「必達目標」としていた。最低限の目標だったにもかかわらず、自民は1人区で野党に負け越し、公明も複数区で議席を逃すなど、合わせて47議席の獲得にとどまった。事実上の「政権選択選挙」で、厳しい審判を受けた。

 石破首相は比較第1党の責任は重く、政治の停滞は避けなければならないとして、続投する意向を示した。理由としては、日米関税交渉が最終盤の状況にあり、物価高対策や緊張感が増す安全保障環境にも対応しなければならないことを挙げた。しかし、衆院選と東京都議選、参院選と3連敗を喫した首相の続投の根拠としては納得できない説明だった。

 首相は物価高対策などの政策について「党派を超えた協議を呼びかけ、結論を得たい」と、公明以外の政党との連携を示唆した。ただ、連立政権の枠組みについては「現時点で拡大する考えは持っていない」と述べた。政権の延命を優先し、不安定な政治状況の打開を目指さないのであれば、速やかに退陣を決断すべきだ。

 衆院で昨年秋以降、政策ごとに与党と向き合ってきたのが立憲民主党と日本維新の会、国民民主党の3党だった。参院選では、国民民主が議席を伸ばしたものの、立憲民主は野党第1党の地位を守ったが議席は改選前勢力の維持、日本維新の会は改選前から1増という結果になった。

 有権者が野党に期待するのは、与党と異なる政策を示し、政権が国民の支持を得られない場合には交代して国政のかじを取ることだ。衆院選後に野党が連合し過半数を取る機会を得ながら、与党と部分連合する状況を選んだ結果、それぞれが掲げる政策の実現につながっただろうか。野党には得た票の重みを感じながら、与党との適切な距離を探ってもらいたい。

 比例票の確定で、本県関係の自民党現職、日本維新の会現職、共産党新人の落選が決まり、参院での本県関係議員の数は改選前から減少した。各党の本県関係の現職議員には、震災と原発事故からの地域再生をさらに進めるため、これまで以上に国会での質疑に力を入れてほしい。

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