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箏曲演奏家・遠藤千晶さんが11月に公演 原点回帰、大家の曲を独奏

2025/10/08 10:00

ソロリサイタルに臨む遠藤千晶さん©島崎信一

 福島市出身の箏曲演奏家遠藤千晶さんが11月1日、東京・銀座の王子ホールでリサイタル「―solo―」を開く。オーケストラとの共演をはじめ、現代曲への挑戦で箏の可能性を切り開いてきた遠藤さん。自身の原点となる古典に立ち返り、江戸期の光崎検校(みつざきけんぎょう)や宮城道雄ら大家の楽曲を独奏で送る。

 自ら「コンチェルトのイメージが定着している」と言うように、数々の協奏曲を初演するなど実績を重ねてきた。それだけに、今回の演奏会について「周囲からは驚かれた」と笑う。一方で、あくまで「私の気質はソロ」。聴衆の耳目を一身に集めて鳴らす一音に、「言葉にできない幸せを感じる」と独奏の醍醐味(だいごみ)を語る。

 演目に取り上げたのは、光崎の古典曲「秋風の曲」や近代邦楽の草分けとなる宮城の「ロンドンの夜の雨」「手事(てごと)」といったスタンダード。演奏活動に加え、東京芸大などで後進を指導する中、自身も「未来を開くだけでなく、もう一度古典を見直そうと思った。伝統と革新のうち『伝統』に焦点を当てた」と選曲の意図を明かす。

 このほか、「遠藤千晶のテーマソング」として委嘱したという新曲「糸のまにまに」も披露。作曲は新作歌舞伎「刀剣乱舞」の楽曲で知られる中井智弥さんが手がけた。日本音楽の持つ「間」と切ない調べが魅力といい、「伝統と革新の両輪がそろった曲。音一つ一つに込められた思いを受け止め、この舞台で誕生させたい」と意気込む。

 3歳で初舞台に立ち半世紀。箏曲界の若手実力者として注目を集め、第62回(2007年度)文化庁芸術祭新人賞や第13回日本伝統文化振興財団賞、第38回松尾芸能賞新人賞などを受賞。10年にはみんゆう県民大賞に選ばれた。「若い頃は技術と勢いに懸けていた」と苦笑しつつ「その時々のスタイルがあってもいい。自然と考えて弾くようになった今は、音がいとおしく思える」と語る。

 「演奏し、教え、その中で学んでいく。活動がうまく循環している」。声音には充実感がにじむ。「培ってきた力を東京のど真ん中で発揮する。私の原点、福島の皆さんにも聴いてもらいたい」

          ◇

 リサイタルは午後5時開演。チケットは全席自由で一般5000円、学割(大学院生以下)3000円。未就学児は入場不可。チケットは遠藤さんの公式サイト(https://www.chiaki-endo.com/product-page/chiaki-endo-solo)などで取り扱っている。問い合わせはCCN music&works(電話090・7813・7755)へ。

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