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公明連立離脱に戸惑いの声 自民県連幹部「詳細全く分からない」

2025/10/11 12:00

 公明党の斉藤鉄夫代表が自民党の高市早苗総裁に伝えた連立政権から離脱する方針を巡り、自民、公明両党の福島県組織関係者からは戸惑いの声などが上がった。

 両党の県組織は県議会で連携関係にあるほか、各種選挙でも協力体制を構築してきた。それだけに、自民県連幹部の1人は連立離脱の一報に「詳細が全く分からない」と戸惑う様子を見せた。「これまでの信頼関係を考えれば県議会などでの連携にすぐには大きな影響は出ないだろう」との見通しを示した上で「それでも連立離脱となれば互いの距離感に変化は出ざるを得ない」と語った。

 ただ、連立離脱が地方にどのような影響を与えるか現時点では不透明だ。自民県連の矢吹貢一幹事長は取材に「現段階では状況を注視するしかない」と述べるにとどめた。

 一方、公明県本部の伊藤達也幹事長は「党は『政治とカネ』の問題(解決)を一丁目一番地に位置付けてきた。しっかり取り組まなければ国民の信頼は得られない」と連立離脱を判断した党の方針を受け止めた。

 自民県連との連携を巡っては「これまで長年にわたり信頼関係を深めてきた。本県は今、復興・創生の大事な時期にある。今後の対応について、しっかり協議したい」と話し合いの場を設けたい意向を示した。

立憲・玄葉氏「思い切った決断」「政界は流動的に」

 公明党の連立政権からの離脱を巡り、自民党の本県関係国会議員は混迷する政局の行方を注視する考えを示した。

 県連会長の星北斗参院議員(福島選挙区)は「公明にも自民にも極めて重大な決断だ。政界再編に動くのか、政党間協力を丁寧に探るのか(衆院)解散に踏み切るのか」と展望。一方で、経済対策などを念頭に「県民や国民の窮状と国際情勢を考えれば政治空白を作ってはならない」と指摘した。

 坂本竜太郎衆院議員(福島4区)は「協力体制は26年間続き、成し遂げてきたことや深めてきた関係は揺るがない。今後も福島の復興と国の未来のために共に尽くしたい」と述べた。

 根本拓衆院議員(比例東北)は「地元にいて状況を詳細に把握しておらず、現時点でコメントできない」とした。

 野党の本県関係国会議員からは、公明党の斉藤鉄夫代表の判断を評価する声が聞かれる一方、「政治とカネ」問題を抱えたままの自民と協力関係を続けた公明の姿勢を疑問視する意見も上がった。

 立憲民主党の玄葉光一郎衆院議員(福島2区)は「思い切った決断だと感じている。政治史や政党史の中の一つの節目となるだろう」と率直な思いを明かした。衆院副議長の立場を踏まえ「政界は流動的になるが、国民にとって本質的なことを『決められる政治』にしていけるよう務めを果たしたい」と誓った。

 小熊慎司衆院議員(立民、福島3区)は「問題を巡り関係に区切りを付けた判断は評価できる。自民は反省し、先送りにしてきた問題に決着を付ける機会とするべきだ」と強調。政局の流動化により国民に影響が生じかねないとし「国政が混迷しないよう尽力しなければならない」と話した。

 金子恵美衆院議員(立民、福島1区)は「自民は解党的出直しができる体制になく、連立を継続しても与党の責任を果たせないと判断したのだろう」と推測。自民と公明の関係について「政策的にも大きな違いがあった。これを契機に政治改革が大きく前進することを望む」と述べた。

 斎藤裕喜衆院議員(立民、比例東北)は「公明は先の衆院選や参院選に際しても政治資金を巡る改革の必要性を訴えてきたと思うが、離脱は対応しなかった自民への思いの表れだ」とし「臨時国会で国民生活を守るための議論を進めるべきだ」と訴えた。

 共産党の岩渕友参院議員(比例)は「公明は自民の『政治とカネ』問題が明るみになった後も連立を組んできた。国民にとって”悪い政治”を共に長く進めてきた責任が問われる」と苦言を呈し「この問題を徹底的に追及する」とした。

県内各党の談話

【宮下雅志立憲民主党県連幹事長】クリーンな政治を掲げる公明党には、政治とカネの問題への不満がたまっていたのだろう。政治の混迷がさらに深まる中、各党には国民生活をしっかりと守る姿勢が求められる。

【山口和之日本維新の会県総支部幹事長】政治は更なる転換期を迎え、地方の選挙大勢も大きく変わる局面にある。国民目線の政治が求められる今、スピード感を持ち、国民の声を届ける政治を進めていく。

【渡部優生国民民主党県連代表代行】公明党が政治資金改革に後ろ向きな自民党に見切りを付けたと考える。物価高対策が喫緊の課題であることに変わりはないので、昨年12月の3党合意の実現を求めていく。

【町田和史共産党県委員長】裏金や旧統一教会との癒着など長年行動を共にした公明党が連立を解消せざるを得ないほど自民党は時代に逆行していた。共産党は、排外主義的な流れを許さない県民と力を合わせる。

【郡剛志参政党県連会長】公明党の連立離脱は驚いたが、政権の枠組みが変化することは良いことだ。参政党の基本姿勢に変化はないが、党内で対応を協議し、臨時国会の早急な開会と経済対策の実現に努力する。

【狩野光昭社民党県連代表】企業・団体献金の規制強化に消極的な自民党との連立解消は当然。参院選の結果を見ても、国民は規制強化を望んでいる。公明党は規制強化に前向きな他党との連携を考えてほしい。

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