要点や重要度を一目で
「編成部の仕事とは」と聞かれたら、入社当初なら「事実を見出しに付ける仕事」としか言えなかっただろう。しかし、約1年半の経験から「事実から読者に伝えたいニュースを抜き出し、分かりやすく届ける仕事」と感じるようになった。
昨年9月に発生した奥能登豪雨から1年がたった、その日の紙面編集に携わった。記事は犠牲者16人のうち、10人が大雨特別警報が発表される前に犠牲になったことを伝える内容だった。
悩んだ末、見出しを「16人中10人」と付けた。これに対して上司は「特別警報が発表される前に10人もの犠牲者が出た。ここにニュース性がある」と言った。それを受けて「特別警報前に10人犠牲」と改めた。紙面を編集する側は、記事の何が重要で、何を読者に届けたいのかを考え続けることで、その思いを紙面に表現できると実感した。
記事の内容が直感的に理解できる見出しを考えるとともに、読者から見栄えが良いと感じてもらえる紙面作り。読者に情報をより分かりやすく届けるための、適切な写真の大きさや読みやすい記事の配置―。日々、多くのことを意識しながら試行錯誤を繰り返している。
編成部は、取材記者が書いた記事をできるだけ分かりやすく読んでもらえるように工夫する、いわば裏方的な立場と言える。それでも、読者が目にするのは編成記者が作った紙面だ。私たちが伝えたい情報を編成の立場から表現し、読む人の心に届く紙面を作っていく。