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【新まち食堂物語】中華料理 大昇楼・郡山市 初代の味、守り受け継ぐ

2025/11/30 11:00

  • 動画付き
調理した料理を差し出す晃さん(右)と圭司さん。親子で初代の味を受け継いでいる
看板メニューの「レバー焼き定食」

 薄いピンク色に、どこか懐かしい雰囲気の漂う店構え。「中華料理」と書かれた赤いのれんをくぐって店内に入ると、天井に飾られた中華あんどんやカウンターの上に掲げられた中国語のメニューのプレートが中国にいるような気持ちにさせてくれる。今年で開業60年、昔ながらの町中華を味わえる郡山市の「中華料理 大昇楼」は地域に愛されてきた。

 横浜中華街(横浜市)で修業を積んだ初代の丸山昇さんが「地元の人にもおいしい中華を食べてもらいたい」と、1965年に安積女子(現安積黎明)高付近に開業した。その後、何度か郡山市内で移転を繰り返し、92年から現在の場所になった。息子で2代目の晃さん(52)も昇さんから「他人の飯を食いなさい」と勧められ、横浜中華街での修業を経て、父と一緒に店を営んだ。晃さんの妻清香さん(52)もホールなどを担当し、店を切り盛りする。

 名物レバー焼き

 昇さんが高齢になり、一度は店を畳む話もあったが、東日本大震災が発生。世間が困難な状況だからこそ、晃さんは「みんなで頑張ろうという気持ちになった」と家族一丸となって店を続けた。

 その後、本格的に店主として店を任された晃さん。信条としているのは「父親の味を残していく」こと。日々、今は亡き父の背中を追いかけている。反抗期などで機嫌の悪い子どもがいるような家族連れでも、食後は満足している姿を見ることが喜びだという。

 店の名物は「レバー焼き」。レバーとタマネギにたれがかかったシンプルなメニューだ。濃厚なたれに絡んだレバーが後を引く。おいしさの秘密はたれもさることながら、レバーにもある。「おいしいレバーを使うから、おいしいたれができる」と晃さん。新鮮なレバーからあふれ出るうまみをたれが受け止めることによって、自慢の一品が完成する。

 「モツ野菜味噌(みそ)炒め」や「味噌ラーメン」など、みそ味の料理も来店者から人気がある。県内で製造され、熟成されたコクのあるみそを使用。ラーメンやあんかけに使用するスープも自信作だ。ブタやトリのだしを最大限に引き出し、うまみを抽出している。

 100周年、次の目標

 料理の礎を築いたのは、昇さんだ。晃さんは父のことを「常においしさを追求していた」と話しており、父の探求心が今も客に愛される味になっている。

 初代の料理は、孫の代にも引き継がれている。晃さんの息子圭司さん(26)も「父の代で店をなくすのはもったいない」と、大学卒業後に店で働き、父とともに調理場に立つ。当初は味の再現に苦労したが、調理の経験を重ねてきた。次第に父からも信頼を得られるようになり「自信が持てればいいよ」と背中を押してくれている。

 圭司さんの弟勇士さん(18)も料理の専門学校に在学中で、卒業後は店で働きたいと考えている。「60年まで来たから、次は100年を目指したい」と圭司さん。初代の味は世代を超え、これからも受け継がれていく。

お店データ

■住所 郡山市備前舘2の1

■電話 024・933・9651

■営業時間 午前11時~午後3時、午後5時~同9時

■定休日 水曜日

■主なメニュー
 ▽レバー焼き定食=1050円
 ▽レバー炒め定食=1000円
 ▽モツ野菜味噌炒め定食=1050円
 ▽五目焼きそば=1050円
 ▽味噌ラーメン=850円

 布袋様笑顔で歓迎

 店の前に来るとまず目に入るのが、建物1階分ほどの高さがある布袋様の石像。「人々に幸せを分ける」という布袋様の御利益にあやかり、初代の丸山昇さんが家族旅行で山梨県を訪れた際、仲良くなった石工職人に作製を依頼した。石像は笑顔で来店客に幸せを届けている。

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