白河だるま総本舗(白河市)の14代目渡辺高章さん(33)が代表を務める「T&D」が1日、同市に就労継続支援A型事業所「いろは」を開所する。障害や難病がある人に白河だるまや赤べこを製造してもらうといい、障害者が伝統工芸の担い手として活躍する「伝福連携」の取り組みとしても注目される。
就労継続支援A型事業所では、一般企業で働くことが難しい人を対象に雇用契約を結ぶ。いろはの定員は20人で、利用者は月~金曜日の週5日の勤務を基本に白河だるまや赤べこの型取り、絵付けなどを手がける。
300年近く白河だるまを製造し、伝統産業をけん引してきた白河だるま総本舗。職人不足が課題となる中、渡辺さんには「白河だるまに携わる人を増やしたい」という思いがあった。白河だるまは手作業で作られており、違いは味や個性として認められる。「性別や障害の有無は関係ない。誰でも参画できる」。そう考え、担い手確保の一環として今春、福祉分野に参入した。
4月に市内で非雇用型のB型事業所を開所し、これまで職人が行っていた袋詰めなどの委託を受けた。細かい作業から離れた職人はだるまの製造に集中できるようになり、業務の効率が上がったという。8月には千葉県茂原市でA型事業所を開き、東京都や成田空港で販売するお土産用だるまを作っている。
同本舗の白河だるまは、人気ブランドやキャラクターとタイアップし、伝統工芸に新たな価値を生み出している。渡辺さんは「障害の壁を越えて、誰もが職人になれる社会を目指したい」と願った。
「いろは」の住所は白河市中町53。営業は月~金曜日。時間は午前9時半~午後0時10分、午後1時~同3時。問い合わせは、いろは(電話070・5356・4656)へ。
