カエルなど両生類に大きな変化 復旧・復興工事が生態系に影響

 

 東日本大震災の津波被害を受けた浜通りの動物相の変化について、南相馬市立博物館の稲葉修学芸員(48)は「両生類は大きな変化があった」と話す。

 稲葉学芸員は一例として、震災前に海岸沿いの田んぼに多くいたトウキョウダルマガエルとニホンアカガエルの2種類のカエルの変化を挙げ、「震災後、ニホンアカガエルが復活したエリアは結構多かったが、トウキョウダルマガエルが復活したエリアは少なかった」。その理由について「ニホンアカガエルはちょっとした水たまりでも産卵するが、トウキョウダルマガエルは広い水面、湿地場が必要になる。同じ被災したカエルでも、復活した個体数が異なってくる」と説明する。

 東京電力福島第1原発事故では、避難区域から住民が避難した。その影響で、アライグマやイノシシ、ニホンザルの個体数が増えたとされている。

 稲葉学芸員は「確かに個体数は増えているが、人がいなくなったことでそれらの動物の活動範囲が広がっている。そのため、実際の増加分以上に個体数が増えているのではないかと多くの人が感じている」と指摘する。捕獲隊による駆除が進められており、「県が防除計画を示したことから、今後各自治体がいかに実行していくかにかかっている」。

 被災地で進められている復旧・復興工事は、生態系に大いに影響を与えていると考えられている。「ため池の堤が危ない状況になったため、堤の水を抜いたところその中にいたブラックバスやウシガエルのオタマジャクシが流れてしまった。繁殖したウシガエルなどにより、震災後、復活したミナミメダカやドジョウなどが捕食されてしまった」と実例を挙げる。