【ニュースを追う】企業立地補助金 不正防止へ納入業者側も調査

 
企業立地補助金の申請書類

 6億円近くの多額な不正受給事案が先月発覚した「ふくしま産業復興企業立地補助金」。県は、補助金を給付するまでに3段階の審査を実施している。どのような流れで審査が行われているのかを追った。

 同補助金は、県内に立地した企業に対し、施設や設備の新増設にかかる費用を支援する制度。県は3月末までに補助金338件約1300億円を給付している。まず、企業からの申請書類について県職員6人による審査会と、会計・監査や企業経営分析などの外部有識者数人が審査。資金計画に無理がないか、事業遂行、継続の経営基盤があるか、地元雇用が確実に見込まれるかなどを判断した上で補助金の採択先を決める。

 採択企業は、申請した計画に基づき事業を進める。施設整備や納入機器の購入費など事業に必要な費用の額が固まった時点で、県に補助金を申請する。県はここで、納品書や請求書など企業から提出された書類が適正か、当初の計画通りに事業が進められているかを審査する。

 最後に、施設や設備が完成した後、企業は実績報告書を県に提出する。その後、県職員が現地を訪れ、申請通りに施設や設備ができているか、補助金の使い道が適切かどうかについて、設備や見積もり、納品書の原本などを確認する。

 申請から3段階のチェックを経て県が適切と判断すれば補助金が給付される。今回不正が発覚したケースについても、申請企業に対する審査は行われていたが、設備の納入業者側に対しては、納品書の整合性などを確認していなかったため、不正を見抜けなかった。このため、県は再発防止策として、納入業者側に対する確認調査を始めた。これまで補助金を給付した件についても抽出調査を行っている。