宮本皓一富岡町長に聞く 魅力ある学校...町ぐるみで子ども育成

 
インタビューに答える宮本町長

 帰還困難区域を除いた富岡町の避難指示が4月1日に解除される。宮本皓一町長に避難指示解除後の町再生への考えを聞いた。

 ―解除後のまちづくりについて。
 「復興拠点の曲田・岡内地区を中心に、まちづくりに力を入れる。町民だけでなく、廃炉作業に携わる作業員や関連企業の関係者にも住んでもらい、新しい町をつくりたい。雇用がなければ定着できないので、新たに産業団地を造成して企業誘致を目指す。震災前に町で開催されていたイベントも、一つでも多く再開させたい」

 ―解除後の課題は何か。
 「(住民意向調査で)約57%が町に戻らないと答えているように、町民は線量を心配している。線量低減は町を取り戻すために一番重要な課題であり、政府が除染を継続してくれると認識している。町の基幹産業だった農業の再生についても実施計画を策定した。順次見直しながら、逃げることなく、農業再生にも取り組みたい」

 ―来年4月に小、中学校を町内で再開させる。
 「魅力ある学校づくりが大きな課題となる。例を挙げると、少ない人数で運動会をやっても盛り上がらない。富岡は3世代で暮らす家族が多かったので、旧態依然の考え方ではなく、祖父母が孫と授業に参加したり、父母が学習発表会の劇に子どもと参加するといったように、町ぐるみで子どもを育てていこうとする姿勢が大事なのではないか」

 ―全国初の震災遺産の保全・活用条例を制定する。
 「(地震があっても)大丈夫だと思っていたJR富岡駅の駅舎が津波にのまれた。富岡町で起きた大きな地震、津波がこれだけ恐ろしいものだと、しっかり後世に伝えていく必要がある。避難指示解除後も町の歴史を継承する貴重な資料の保存に取り組んでいく」