遠藤智広野町長に聞く 地域医療を安定化

 
「住民福祉の向上に全力を挙げる」と語る遠藤町長

 広野町の遠藤智町長は、仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供期間が終わる今月末を「帰還の節目」と捉えた上で「8割を超える住民の帰還が見込まれ、古里の復興・再生はセカンドステージに入る。新しい価値観に基づき、住民が『住んで良かった』と思える新しいまちづくりに全力で取り組む」と決意を述べた。

 高野病院で常勤医が一時不在となった問題を踏まえ地域医療の安定化に最優先で臨む方針で、同病院と馬場医院を支援する独自制度を立ち上げる。「いのちを守る」を柱の一つに、子育て支援や健康増進の取り組みを強化するための組織改編に踏み切る。「福祉の向上と行政サービスの充実で、住民が安寧に暮らせる環境を整えていく」と強調した。

 町内で生活する作業員らは約3100人で、共生の在り方は模索が続いており「廃炉まで30~40年かかる中、町に住民票のない人をどう位置付けるか、国が体系化してほしい」と訴える。

 町民主導で帰還者の歓迎イベントが実現、絆を取り戻そうとする意識が芽生えた。「住民主体で持続可能なまちづくりを進めることで絆を強め、心の復興につなげる」と意欲を語った。