渡辺利綱大熊町長に聞く 帰還へ課題洗い出す、必ず希望が見える

 
インタビューに答える渡辺町長

 東京電力福島第1原発が立地する大熊町は、町内の復興に向けた動きが加速している。2017年は町内の復興拠点整備が本格化し、帰還に向けた準備宿泊を実施する予定だ。かじ取り役の渡辺利綱町長に復興への考えなどを聞いた。

 ―間もなく震災丸6年を迎える。心境は。
 「6年に及ぶ避難生活という異常事態の中、町として町民の"心の復興"に取り組んできた。帰還は見通せず、課題である絆の維持やコミュティー支援の重要度は増してくる。多様な町民の声に耳を傾け、ベストの道を模索していきたい」

 ―16年は町復興の動きが目立った。
 「今までの年とは違い、やっと進展が実感できた。帰還困難区域以外の2地区(大川原と中屋敷)で特例宿泊を実施し、少数だが町民が自宅で過ごすことができた。さらに復興拠点となる大川原地区には工場や事業所、メガソーラー、東電単身寮の整備・稼働が進み、動きがみえた」

 ―震災7年目となる17年の展望は。
 「年内には2地区での準備宿泊を実施し、帰還への課題を洗い出す。新たな都市計画に沿って大川原地区の復興拠点整備を進め、18年度には町役場新庁舎を完成させる目標だ。町営の災害公営住宅整備も進め、帰還を望む町民の期待に応えるまちづくりに取り組む。帰還困難区域の復興計画策定にも着手し、第二の復興拠点である下野上地区の整備を模索したい」

 ―町復興に向け抱負を。
 「これまでも逆境の中で、町民と共に多くの困難を乗り越えてきた。課題山積の厳しい状況はすぐには変わらないが、前を向く1年にしていきたい。必ず希望は見えてくると信じている。まず顔を上げて前を向くことから始めていきたい」