伊沢史朗双葉町長に聞く ようやく復興具体化、町民雇用の場整備

 
インタビューに答える伊沢町長

 避難自治体の中で復興が最も遅れているとの指摘もある双葉町。任期満了に伴う1月の町長選で無投票再選し、3月10日から2期目を迎える伊沢史朗町長に、今後の課題などを聞いた。

 ―震災、原発事故後の経過を振り返って。
 「埼玉県に2年3カ月、役場ごと避難していたことも影響し、他の避難自治体に比べ復興に遅れがある。他市町村に追い付くため、復興を見える形にしようとまちづくりを進めてきた。復興産業拠点の整備や帰還困難区域内のJR双葉駅西側の除染が始まり、復興インターチェンジの用地取得にもめどが立った。ようやく復興が具体化してきた」

 ―今後の重要課題は。
 「復興産業拠点の整備。今年から用地取得の取り組みが始まる。産業拠点は、隣接する県のアーカイブ拠点施設、町民が交流する産業交流センターなどと連動しているため、2020年の東京五輪までに一部でも使えるように整備したい。またJR双葉駅西側の除染は17年中に終わるので、その後の復興拠点の整備も重要だ」

 ―他の避難自治体では避難指示の解除が進む。
 「焦りはあるし、自分たちの町に戻って復興を進めたい。ただ、双葉町の避難指示解除準備区域は住民の生活の場ではなく、産業拠点を整備する働く拠点の位置付け。解除は遅くなるが、インフラ整備などを確実に進め、町民が安全・安心に働ける雇用の場を整えることが大切」

 ―町民意向調査で6割が「戻らない」と回答した。
 「長期の避難が続く。戻ろうと思っていた人も、町の現状を考えて帰還が厳しいと思うのは当然。復興の取り組みが魅力あるものであれば、帰還への意識を高められる可能性はある。悲観的には考えていない」