DNA、タンパク質で修復

 

 DNA(ディーエヌエー)は生物が生きていくために必要な全ての設計図の原本を集めた、巨大な辞典です。DNAは左手と右手のように、対となるもの二つがセットになって存在し、ハシゴをねじったような構造をしています。

 細胞が分裂して増える際には、DNAも複製される必要があります。ハシゴの右側を鋳型にして左側を、左側を鋳型にして右側を作り、トータルとして一つの原本を二つに複製するのです。このDNAの複製の方法は、DNAが何らかの理由で傷つき、ハシゴの一部を修復しなければならない際に行われる方法とやり方は同じです。

 例えば、ハシゴの左右どちらかの支柱が折れたり切れたりする場合、その部分をくっつけるためのタンパク質が存在します。放射線によるDNAの一本鎖切断などと表現されるのもこの状況です。

 そのほかに、ハシゴ1段の調子が悪い場合、より具体的には、DNAを構成するA・T・G・Cという四つの文字が間違っていたり、文字の一部が汚れてしまったりしているような場合があります。そのようなときには、その段の部分を取り除く役割と、そこに新しい段を作る役割のタンパク質が存在するのです。

 このような方法で、DNAが放射線によって傷がついても、修復できる機能を私たちは備えているのです。