病院の検査にエックス線

 

 病院などの医療機関では胸やおなかの写真を撮る際、エックス線が用いられます。エックス線はガンマ線と同じ性質を持つ放射線です。放射性物質から放出されるのが放射線ですが、病院のエックス線装置には放射性物質は「含まれません」。電気の力でエックス線を作り出しています。

 ではどのようにしてエックス線を生み出しているのでしょうか。

 エックス線発生装置には、いわゆる白熱電球のような真空のガラス管の中に、熱を発する細い繊維(フィラメント)が備わっています。そこに強い電流を流して熱し、電子が飛び出しやすい状態にすると、マイナス極側から電子が勢いよく飛び出します。それがプラス極側に高速でぶつかり、電子のエネルギーがプラス極側に渡されます。その渡された電子のエネルギーがエックス線として外側に放出されるのです。

 エックス線装置には放射性物質は含まれないため、不安定な放射性物質から放射線が出続けるということはありません。強い電流を流したときだけエックス線が放出されることになります。このようにして作られたエックス線は、レントゲン検査やCT検査といった診断や治療を行う上でなくてはならない検査に用いられるのです。