「造影剤」体内を見えやすく

 

 病院などの医療機関では胸やおなかの写真を撮る際、エックス線が用いられます。エックス線はガンマ線と同じ性質を持つ放射線です。

 胸のレントゲン検査では、正常だと左右の肺の部分がやや黒く写り、背骨や肋骨(ろっこつ)、腕の骨、心臓の部分が白く写ります。レントゲン検査やCT検査でこのような白と黒のコントラストが生まれるのは、身体の外から放射線を当てた時に、それぞれの臓器で、エックス線を吸収する程度が異なるからでした。

 そのため、骨と肺を比べるとエックス線を吸収する程度が大きく異なるため、区別しやすい一方、筋肉と心臓・肝臓、血液などの液体はそれぞれのエックス線の吸収の程度が似ているため、コントラストがつけづらいという欠点がありました。

 それを解決するために用いられるのが、造影剤です。胃のバリウム検査の時に用いる飲むタイプのものや、CT検査の際に点滴で血管の中に投与するものなどがあります。

 造影剤はエックス線を遮蔽(しゃへい)したり吸収したりすることができます。そのため造影剤を飲んでからレントゲン写真を撮ると、造影剤が付着した胃の細かい粘膜の表面を見ることができたり、造影剤を点滴してからCT検査を行うと、造影剤が通っている血管が周りの臓器に比べて見えやすく映し出されたりすることになります。